新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)

新型コロナウイルス感染症 ~第4回アンケート結果を受けて~

呼吸器学会より

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、初例報告から約1年になりますが、世界の総罹患者数は1億を超え、死亡者数も230万になろうとしています。日本でも罹患者数40万人、死者は6千名を超え、昨年4月に続いて本年1月に2度目の緊急事態宣言が発令され、ようやく罹患者数の減少が明らかになっているところです。
 皆様には大変多忙の中、これまでの4回のアンケートにご協力をいただき、感謝申し上げます。本アンケートは北海道大学の今野先生にお願いして継続できているものですが、これまで会員の皆様が、物資の不足やいわれなき差別など種々のストレスに晒されながらも、多くの病院で第一線に立ち、患者さんのために医療の維持に尽力されてきたことが明らかになっています。
 COVID-19は呼吸器疾患とは言えない面も多々ある中、今回 第4回目の結果を見ても、呼吸器科医が担当医あるいはバックアップ医師としてCOVID-19診療の中心を担いつつ、通常診療も何とか維持しており、深刻な業務量増加にさらされていることが示されています。また、PPE(個人防護具)の不足による大きなストレスを感じている施設は、まだ29.8%(42施設) (1回目85.2%, 2回目 61.2%, 3回目 35%)もありました。さらに、医療スタッフや患者が直近1か月以内に何らかのハラスメントを受けた、と回答した施設も21.2%(30施設)(3回目 16.4%) と、むしろ増加傾向にありました。
 特にこのPPE不足は経時的に改善傾向にはあるものの、依然として3割の医療機関でPPEの不足を実感し、あまり改善していなかったということでした。PPEについては、国で必要量を確保、医療機関に無償配布してきたという経緯がありますが、先日本アンケート調査をふまえて、厚労省の方にお伺いする機会(2021年2月)があり、以下のような回答を得ておりますので共有したいと思います。

  1. サージカルマスク、ガウン、フェイスシールドについては、需給状況が改善し、備蓄を計画的に確保する対応に移行している。
  2. N95マスク、非滅菌手袋については改善しているが、十分量の確保が困難な施設もあるため、都道府県を通じたプッシュ型無償配布、緊急配布要請の仕組みでの無償配布を実施している。
  3. 厚労省としては、物資ごとの需給状況を注視し、必要な支援を行っていきたい。

 今後、本邦でもようやくワクチン接種が本格化すると思います。引き続き皆様の経験を分かち合い、また必要な情報を共有したいと思います。呼吸器病の専門家としての自信とプライドを持って、引き続き診療にあたっていただけますよう、お願い申し上げます。


一般社団法人日本呼吸器学会
理事長 横山彰仁