呼吸器Q&A

Q6 黄色または緑色のたんが出ます

なぜ黄色または緑色のたんが出るのですか?

 サラサラした水っぽいたんが硬くなり、白色から黄色や緑色に代わると、膿性(のうせい)のたんと呼ばれます。これは細菌と白血球と粘液の混ざったものと考えられます。ときに、慢性副鼻腔炎で膿性の鼻汁がのどの奥に落ちてくる後鼻漏では、膿性のたんが増えてきたと誤解されることがあります。

黄色または緑色のたんが出る病気にはどのようなものがありますか?

 急性気管支炎や肺炎などの感染症では、細菌やウイルスなどの病原菌による強い炎症が原因となります。一般に、ウイルスよりも細菌のほうが膿性のたんを出しやすいと言われています。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎などでは、病原菌が気道に定着しつつ慢性的な炎症が気道粘膜で続いているので、発熱がなくても膿性のたんが出ます。肺結核や肺非結核性抗酸菌症や肺がんでも、膿性のたんが長く続くことがあります。慢性副鼻腔炎による後鼻漏と、気管支や肺の病気を混同しないような注意も必要です。

黄色または緑色のたんが出る場合の検査にはどのようなものがありますか?

 膿性のたんが出てもすぐに肺炎というわけではありません。息が苦しいとか、なかなか熱が下がらないとか、だんだん食欲がなくなってきたという症状が伴うようであれば肺炎の可能性が高くなりますので、近くのクリニックで胸のエックス線写真を撮ってもらいましょう。たんを容器に出して検査すると、たんのなかに含まれる細菌や結核菌、がん細胞などを調べることができます。血液検査や胸部CTスキャン検査が必要な場合もあります。なかなか診断がつかないときや肺がんの可能性があるときには気管支内視鏡検査が行われます。

黄色または緑色のたんが出る病気の治療にはどのようなものがありますか?

 すぐに原因の病原菌が特定できない場合には、肺炎を起こすことが多い病原菌を想定して有効な抗菌薬を飲んだり点滴をしたりします。たんの染色検査や培養検査によって原因の病原菌が分かった時点でその菌に特に有効な抗菌薬に変更することもありますが、最初の抗菌薬が有効であればそのまま継続します。COPDや気管支拡張症では、たんを出しやすくするだけでなく息切れを改善するためにも気管支拡張薬の吸入を使います。膿性たんのために日常生活に支障を来すような一部のCOPDや気管支拡張症の患者さん、およびびまん性汎細気管支炎や慢性副鼻腔炎の患者さんでは、マクロライド系とよばれる抗菌薬を長期間使用することで症状が楽になることが多いです。結核や一部の非結核性抗酸菌症では有効な抗菌薬を3~4剤を併用して半年以上飲み続けます。肺がんでは進行の程度によって治療法が変わりますので専門の先生と相談して決めます。