学術講演会抄録集 検索結果

【背景・目的】GDF11は老化抑制作用を有する液性因子として近年注目されている．COPD患者において血液，肺におけるGDF11の発現を検討し，その老化抑制作用について検討する．【方法・結果】43名の対照群，53名のCOPD群の血漿中GDF11の発現量をwestern blotを用いて定量した．得られた結果を同規模の別コホートを用いて検証した．肺におけるGDF11の発現は，独自に考案した肺単細胞分離法を用いて発現細胞を同定し，発現量を比較した．二つの独立したコホートでCOPD群では血漿中のGDF11量が有意に低下し，その程度は呼吸機能，喫煙歴と相関を認めた．またCOPD患者において併存症の合併数が多い群ほどGDF11量は低値であった．肺においてGDF11は主に間葉系細胞に発現し，COPD由来の細胞で有意に発現が低下していた．免疫組織学的検討でもCOPD肺でGDF11の発現は有意に低下していた．タバコ抽出液の慢性曝露の結果，肺線維芽細胞は細胞老化とGDF11の産生低下を呈し組織修復能の低下を認めたが，GDF11の投与により，細胞老化と炎症性メディエーターの産生が抑制され，組織修復能も改善した．【結論】GDF11はCOPDで見られる細胞老化に関与する可能性が示唆された．