学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS4 強制オシレーション呼吸インピーダンスと指尖容積脈波の同時計測による安静時呼吸動態詳細解析の試み
- 北岡裕子1),玄山宗到2),平田陽彦2),木島貴志2),田淵寛人3),星野朋子3) 株式会社JSOLエンジニアリング事業部1),大阪大学呼吸器内科2),大阪大学付属病院臨床検査部3)
強制オシレーション法はきわめて鋭敏で情報も豊富であるが,電気回路モデルによる従来解釈には誤りがあり,その有用性が臨床で充分に発揮されていない.また,呼吸中の気流量は時々刻々変動し,それに伴いインピーダンスの値も変化するが,吸気呼気の平均値しか用いられていない.呼吸インピーダンスを有効活用するためには,心電図のように時系列データとして扱わなければならない.我々は健常者5名に対し,MostGraph検査と指尖容積脈波を同時計測し,心原性変動(=心拍によって大気道が圧迫変形し,気流が変化し,それに伴い,インピーダンス値が変化する現象)を除外したR5X5の時系列データを得ることができた.それにより,R5X5の気流量依存性を定量的に解析でき,気道抵抗と組織抵抗を分離することができた.また,呼吸中の脈圧の変動から胸腔内圧の変動を推定し,努力呼気を検出することに成功した.さらに,脈波から推定される胸腔内圧の変動と口腔内の圧変動を組み合させて肺コンプライアンスを推定する方法を考案した.本法は,詳細かつ鋭敏な換気力学検査法になりうると考えられた.
日本呼吸器学会誌 第6巻増刊号 p.115(2017)