学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS3 アレルギー性気道炎症における酸化ストレスの関与と抗酸化物質による治療的効果
- 内田 賢1,2,4),Scott M. O'Grady3),紀太博仁4) JCHO佐賀中部病院1),佐賀大学呼吸器内科2),University of Minnesota, USA3),Mayo Clinic Rochester, USA4)
[背景]気管支喘息の病態においてアレルゲンに対するTh2型免疫反応は重要である.様々な生物学的,免疫学的状況において酸化ストレスが生じる.Nrf2は抗酸化反応に関連する様々な遺伝子を活性化する転写制御因子である.[目的]アレルギー性免疫反応における酸化ストレスの役割を明らかにし,Nrf2を活性化するCDDO-Meの治療的効果を検討した.[方法]NHBE細胞をAlternaria(Alt)で刺激しIL-33の発現を測定した.Balb/cマウスにAlt曝露を行い,その影響について解析した.[結果]NHBE細胞はAlt曝露により細胞内に活性酸素を産生しIL-33を分泌した.抗酸化物質であるGSHは活性酸素の産生並びにIL-33分泌を抑制した.Alt曝露によりマウスBALF中にIL-33の分泌,肺組織中にIL-5,IL-13の発現を認めたが,これらはGSHにより抑制された.マウスにCDDO-Meを投与すると抗酸化分子の発現が増加し,更にCDDO-MeはAlt曝露マウスの好酸球性気道炎症,粘液産生,IgE値の上昇を抑制した.[結論]酸化ストレスはアレルゲン曝露によるIL-33分泌とTh2型免疫反応において重要であり,CDDO-Meのような抗酸化物質はアレルギー性気道疾患や喘息における治療戦略に有益であることが示唆された.
日本呼吸器学会誌 第6巻増刊号 p.115(2017)