学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS15 成人喘息の長期管理における治療薬のStep downの指標に対する検討
- 釣木澤尚実1),押方智也子1),粒来崇博1),佐藤利雄2),木村五郎3),水城まさみ4),庄司俊輔5),齋藤博士1),下田照文6) NHO相模原病院アレルギー科1),NHO岡山医療センター2),NHO南岡山医療センター3),NHO盛岡病院4),NHO東京病院5),NHO福岡病院6)
【目的】吸入ステロイド(ICS)減量後も長期間管理良好状態の維持が可能となるICS減量時の臨床的指標を多施設共同研究にて確立する.【方法】ICS治療後,無症状期間が6ヶ月間以上ある成人喘息症例を対象とした.ICSを半量に減量後最短12ヶ月間,最長36ヶ月間の臨床経過を追跡した.初診時,減量前の背景因子,治療内容,肺機能,呼気NO,減量前の血清中IL-10,IL-33,TSLPをELISAで測定し,多変量解析を用いてICS減量後に臨床症状が悪化しない因子を解析した.【結果】6施設で223例が登録され,脱落,経過観察中を除く211例を解析対象とした.12ヶ月間の経過では66例(31.3%)が平均6.1±3.3ヶ月,36ヶ月の経過では85例(40.3%)が平均9.5±7.5ヶ月で悪化した.多変量解析ではICS減量後も悪化しない指標として,12ヶ月間の観察期間では減量前PEF週内変動低値,36ヶ月間の観察期間では血清IL-33低値,減量前PEF週内変動低値が有意な因子として抽出された.【結論】ICS減量後も臨床症状が悪化しないICS減量基準として減量前のPEF週内変動,血清IL-33測定が有用な指標となる可能性がある.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.139(2016)