学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS13 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に対するCPAP前後の体重とエネルギー代謝の変化
- 立川 良1),池田香織2),南 卓馬1),松本 健1),濱田 哲1),村瀬公彦1),谷澤公伸3),井内盛遠3),小賀 徹3),三嶋理晃1),稲垣暢也2),陳 和夫3) 京都大学呼吸器内科1),京都大学糖尿病・内分泌・栄養内科2),京都大学呼吸管理睡眠制御学3)
【背景】OSAはエネルギー代謝調節異常を介して肥満の原因となりうるが,逆にCPAP後に体重が増加することも示されている.【目的】CPAP前後でのOSA患者の体重変化の機序を明らかにする.【方法】OSA患者63名(平均60歳, BMI28kg/m2, AHI42)において,診断時, CPAP開始時, 治療3ヶ月後に,包括的エネルギー代謝評価 (PSG, 安静時代謝量[REE], 体重・体組成, 栄養食事調査, 身体活動量, 各種ホルモン) を行った.【成績】CPAP後に体重は増加し(診断時77.8kg, CPAP開始時77.6kg, 3ヶ月後78.2kg, p=0.01),REEは低下した(1584, 1561, 1508 kcal/日, p<0.001).多変量解析では,重症OSA・尿中ノルアドレナリン低下・CPAPアドヒアランスがREE低下の予測因子であり,女性・低BMI・摂取カロリー増加が体重増加の予測因子であった.体重増加者では食行動質問票の点数が有意に高く,食行動に問題点を有していた.【結論】CPAP後のREE低下は体重増加の一因となるが,実際の体重変動には食事内容がより大きな影響を与えている.CPAPで減量は期待できず,生活習慣の是正が肥満予防に重要である.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.139(2016)