学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS11 非小細胞肺癌におけるPD-L1,PD-L2遺伝子コピー数増加
- 井上裕介1,2),吉村克洋1,2),倉部誠也2),華表友暁2),棚橋雅幸3),小川 博4),乾 直輝1,5),船井和仁6),新村和也2),丹羽 宏3),須田隆文1),椙村春彦2) 浜松医科大学内科学第二講座1),浜松医科大学腫瘍病理学講座2),聖隷三方原病院呼吸器外科3),聖隷三方原病院病理診断科4),浜松医科大学臨床薬理学講座5),浜松医科大学第一外科6)
【目的】非小細胞肺癌におけるPD-L1,PD-L2遺伝子コピー数増加の意義は不明である.【方法】切除非小細胞肺癌665例のPD-L1発現レベルを免疫組織染色で評価し,647例のPD-L1,645例のPD-L2遺伝子コピー数をFISH法を用いて解析した.H score≧5を蛋白発現陽性とし,遺伝子コピー数は「遺伝子増幅」,「ポリソミー」,「ダイソミー」に分類した.【結果】PD-L1発現は205例(30.8%)で陽性で,陰性群と比較して男性,喫煙歴,扁平上皮癌,進行N期,進行病期の割合が高かった.PD-L1遺伝子増幅は20例(3.1%)に,ポリソミーは85例(13.1%)にみられ,蛋白発現と同様の傾向を有していた.PD-L1コピー数増加群はPD-L1発現レベルが高く,PD-L1とPD-L2のコピー数は関連していた.PD-L1高発現群は低発現群と比較し有意に予後不良で(P<0.001),PD-L1遺伝子増幅群も生存期間が短縮していた(P=0.009).【結論】切除非小細胞肺癌において,PD-L1遺伝子コピー数増加はPD-L1蛋白発現やPD-L2のコピー数増加と関係がある.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.138(2016)