学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS9 肺MAC症患者における予後予測スコアリングシステムの検討
- 熊谷尚悟,古内浩司,伊藤明広,橋本 徹,石田 直 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院呼吸器内科
【背景】肺MAC症患者を治療する上で予後を予測することは重要だが,肺MAC症の予後因子に関する報告は少なく,有効なスコアリングシステムも存在しない.肺MAC症における予後因子を同定し,予後予測スコアリングシステムを構築するため患者情報を検討した.【方法】2006年から2011年までに当院にてATS guidelineに従い肺MAC症と診断された368人を対象とした.生命予後をアウトカムとし,診断時の患者情報を後ろ向きに検討した.予後予測にはログランク検定とコックス比例ハザードモデルを用いた.【結果】追跡期間の正中値は42か月であり死亡例は75例であった.多変量解析により,年齢70歳以上,男性,Alb3.5g/dL未満,BMI18.5未満,末梢血中リンパ球数1000/μL未満,CT上FCパターン,担癌が独立した予後因子だった.以上の因子を各1点とし0-1点を低リスク群,2-3点を中リスク群,4点以上を高リスク群として予後予測スコアリングシステムを構築した.各群の5年生存率は96.3%,76.3%,28.6% (P値0.001未満)だった.【結論】肺MAC症における予後予測スコアリングシステムを構築した.今後,このシステムの有用性を検証する必要がある.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.138(2016)