学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS7 線維化型間質性肺炎急性増悪(FIP-AE)例におけるHMGB1値と予後の検討-リコンビナント・トロンボモジュリン(rTM)投与例を中心に-
- 清水宏繁,坂本 晋,一色琢磨,卜部尚久,後町杏子,佐野 剛,杉野圭史,磯部和順,高井雄二郎,本間 栄 東邦大学内科学講座呼吸器内科
【背景】特発性間質性肺炎(IPF)の急性増悪(AE)に対するrTMの有効性が報告されている.rTMはAE発症に関連するHMGB1値を低下させ,予後を改善する可能性がある.【対象と方法】2013年1月~2015年8月の間にFIP-AEと診断された33例において前向きに血清HMGB1を測定し,rTM投与例[25例(T群)]での推移を非投与例[8例(N群)]を対照とし比較し,予後との関連について検討した. 結果:対象患者は男性28例,女性5例.T群では14/19例(73.7%)でHMGB1が有意に低下した(13.8±12.2→6.4±5.9 ng/ml:P=0.02).一方,N群では有意な低下は認められなかった(8.5±5.6→8.7±9.4 ng/ml:P=0.95).3ヶ月後の生存率はHMGB1が低下した群で有意に高く[低下群(n=18)66.7% vs 非低下群(n=9)33.3%(p=0.006)],単変量解析ではHMGB1の経時的な低下が3ヶ月後の生存に関連する因子であった(p=0.007; OR=16).【結論】FIP-AEにおいて,治療後のHMGB1の低下は予後と関連した.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.138(2016)