学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS6 COPD患者における可溶性α-klothoの肺及び骨格筋機能に及ぼす生理作用
- 呉家由子,金澤 博,井尻尚樹,山本典雄,長安書博,藤本寛樹,田中秀典,小西一央,栩野吉弘,宇治正人,鴨井 博,平田一人 大阪市立大学呼吸器内科学
背景:抗老化関連因子であるα-klothoは,生体内では膜結合性,又は可溶性蛋白として存在する.膜結合性α-klothoの低下は,老化に伴う肺気腫やサルコペニアを誘導するとされている.可溶性α-klothoの生理作用は不明であるが,骨格筋に対する作用が注目されている.方法:COPD患者群24例と対照群16例に対して,可溶性α-klotho 濃度と肺機能検査,心肺運動負荷試験,骨格筋機能との関連性を検討した.骨格筋機能評価法として,血清irisin濃度を用いた.結果:可溶性α-klotho濃度は,対照群と比較してCOPD患者群では有意に低値を示した.しかし,可溶性α-klotho 濃度と全ての肺機能検査所見には,有意な相関関係は認めなかった.また,心肺運動負荷試験から求めた最大酸素摂取量は,肺機能検査所見上の閉塞性障害,及び拡散障害の指標とは有意な相関関係を認めるものの,可溶性α-klotho 濃度とは,相関関係を認めなかった.一方,irisin濃度はCOPD群で有意に低値であり,かつ可溶性α-klotho濃度との間に有意な正の相関関係が認められた.結語:COPD患者における可溶性α-klotho濃度の低下は,骨格筋の機能不全に関わる可能性が示唆された.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.137(2016)