学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS5 ラミンB1発現低下のCOPD病態における役割
- 斉藤那由多,荒屋 潤,伊藤三郎,門田 宰,吉田昌弘,佐藤奈穂子,坪内和哉,栗田裕輔,小林賢治,内海裕文,柳澤治彦,橋本典生,和久井大,皆川俊介,小島 淳,原 弘道,沼田尊功,金子由美,中山勝敏,桑野和善 東京慈恵会医科大学内科学講座呼吸器内科
【背景】喫煙刺激による細胞老化の亢進はCOPD病態に関与する.核膜ラミナ蛋白構成の変化は,細胞老化の進展に関わるエピジェネテイックな制御因子となる.我々は,COPD患者気道上皮細胞でのラミンB1発現低下を認めており,COPD病態へのラミンB1の関与を更に詳細に検討した.【方法】CSE刺激によるオートファジー誘導に対するラミン B1の影響を,siRNAによるノックダウンにて検討した.ラミン B1ノックダウンによる遺伝子発現の変化は,マイクロアレイで評価した.6か月間喫煙曝露肺気腫モデルマウスでのラミン B1発現変化を検討した.【結果】CSEによるオートファジー誘導はラミンB1ノックダウンにて抑制された.マイクロアレイの検討からmTOR活性化抑制因子であるDEPTORの発現低下が,オートファジー誘導低下に関与する可能性が示唆された.肺気腫モデルマウスの肺ホモジネート検体でラミン B1発現は低下していた.【結論】ラミンB1発現低下が,エピジェネテイックな調整因子としてオートファジーや細胞老化の制御によりCOPD病態に関与すると思われた.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.137(2016)