学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS4 クロージングボリューム(CV)曲線の新しい解析法?N2微分波形分析法?
- 和田晋一1),閔庚火華2),村尾 仁1),池田宗一郎3) 大阪医科大学中央検査部1),市立伊丹病院呼吸器内科2),大阪医科大学呼吸器内科3)
【背景】COPD患者ではCV曲線の第III相が急峻(steepパターン)となりIV相との区別が難しくCVが測定できないことがある.【目的】N2濃度をボリュームで微分する“N2微分波形分析法”(fdN法)を考案し,cardiogenic oscillations(CO)の振幅の違いから第III相と第IV相を区別する方法を提案した.【対象と方法】健常人26例,COPD患者32例を標準的なResident gas法で測定したCV曲線のN2濃度をCSVファイル形式でデータを出力しボリューム変化量で割ることで微分波形(fdN)を作成した.【結果】fdNによってCOが強調された振動波が得られた.健常人において振動波の振幅は第III相では26.1±19.6%/lに対し第IV相で11.6±10.2%/lであった(p<0.01).steepパターンであった7例を除くCOPD群25例においては振幅は第III相9.9±5.5%/l vs第IV相で4.2±2.4%/lであった(p<0.01).steepパターンの7例でもCO振幅の減少により第III-IV相を区別できた.従来法で評価したCV値とfdN法で測定したCVはよい相関を示した(r=0.97).【結語】N2微分波形分析法は第IV相の検出が難しいとされたsteepパターンを示すCOPD患者でもCOの振幅の違いを用いて第III相と第IV相を区別できCV値を評価できる.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.137(2016)