学術部会賞 学術講演会演題賞(学術部会賞)選考講演会
- AS2 クラリスロマイシンは正常ヒト気道上皮細胞においてSPDEF/CLCA1を抑制しIL-13誘導MUC5AC発現および杯細胞過形成を抑制する
- 長島哲理1),新海正晴1),下川路伊亮1),篠田雅宏1),三科 圭1),石井宏志1),木村泰浩1),須藤成人1),鄭 慶鎬1),児玉達哉1),佐々木寿1),田中恭子1),戸田万里子1),原 悠1), 横浜市立大学附属市民総合医療センター1),横浜市立大学呼吸器病学2)
【背景】クラリスロマイシン(CAM)は気道分泌抑制作用を有することが示唆されているが,その機序は不明な点が多い.一方,気道分泌に関与するCLCA1遺伝子が気管支喘息患者で高発現することが報告されている.正常ヒト気道上皮細胞(NHBE cell)におけるCAMのIL-13誘導杯細胞過形成とそれに関連する細胞シグナルへの影響を検討した.【方法】IL-13存在下にNHBE cellをAir Liquid Interface法を用い14日間培養し杯細胞化した.蛋白量をElisa法で,mRNA発現をReal-time PCRで,リン酸化をWestern blot法で,組織学検討をHE染色で実施した.【結果】CAMはIL-13誘導MUC5AC蛋白量及びmRNA発現量を濃度依存的に抑制し杯細胞過形成を抑制した.STAT6リン酸化への影響は認めず,ERKリン酸化の抑制が示唆され,SPDEFとCLCA1mRNA発現は有意に抑制された.【結論】CAMはIL-13誘導杯細胞過形成を抑制し,その機序にSPDEF/CLCA1の関与が考えられた.
日本呼吸器学会誌 第5巻増刊号 p.137(2016)