お知らせ

世界禁煙デーにあたって

呼吸器学会

世界禁煙デーにあたって

日本呼吸器学会は、世界禁煙デー(World No Tobacco Day)に賛同し、応援します

毎年5月31日は、世界保健機構(WHO)が定めた世界禁煙デー(World No Tobacco Day)です。喫煙は世界中で心血管疾患、呼吸器疾患、癌などの様々な病気の原因となっており、年間800万人以上が喫煙関連の疾患で死亡しています。また、そのうちの約130万人が受動喫煙によるタバコ曝露が原因であると考えられています。1989年にWHOは毎年月31日を「世界禁煙デー」と定め、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指して様々な活動を展開してきました。日本呼吸器学会はこの活動に賛同し、能動喫煙はもとより受動喫煙がなくなり、毎日がタバコのない日になるよう、努力してまいります。

今年のテーマは、「protecting children from tobacco industry interference」です

WHOのHPによると、世界のタバコ産業の戦略の結果、若者の間でのタバコ依存が増加しています。現在、世界のあらゆる地域において、子供の電子タバコの使用割合は大人よりも高く、全世界で推定3,700万人の13〜15歳の若者が、タバコを使用しています。
今年の世界禁煙デーにおいては、タバコ産業の商業戦略からの保護を政府に求めている世界中の若者が、政府からの保護を実現できるよう支援することを目標に掲げています。
(https://www.who.int/europe/news-room/events/item/2024/05/31/default-calendar/world-no-tobacco-day-2024--protecting-children-from-tobacco-industry-interference)
(https://japan-who.or.jp/news-releases/2405-28/)

タバコの使用は思春期に始まることが多く、喫煙者の10人中9人は、18歳以前に喫煙を開始しています。仲間の影響、親の喫煙、遺伝的要因、社会経済的地位の低さなどの要因が、青少年の喫煙開始に寄与していると考えられています。
また、タバコの広告やSNSなどによる情報拡散は、若者の喫煙開始と喫煙の継続に、大きな悪影響を及ぼしていることが報告されています。これらの喫煙を扇動するような情報を制限すると同時に、タバコの健康被害を広く周知することで、若者の喫煙率を低下させ、ひいては健康寿命の延長につながることが期待されます。

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グローバルな視点で、禁煙の推進を!

日本でも1992年から、WHOの世界禁煙デーからの1週間(5月31日から6月6日まで)を「禁煙週間」と厚生労働省が定めています。しかしそのテーマは毎年、WHOのテーマとは異なっています。本年の禁煙週間のテーマは、「たばこの健康影響を知ろう!~たばことCOPDの関係性~」となっています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202210_00014.html
日本呼吸器学会では、未来を担う若者の肺を守るための活動にも重点を置き、能動喫煙はもとより、望むと望まざるとにかかわらず全ての受動喫煙がなくなることを目指しています。
本年の世界禁煙デーをきっかけにして、WHOの目指す、地域・年齢・産業界の枠組みを超えたグローバルな取り組みにも関心を持っていただければ幸いです。

 

令和6年5月31日
日本呼吸器学会 理事長
髙橋 和久

日本呼吸器学会 禁煙推進委員会委員長
杉浦 久敏