お知らせ

新型タバコ(電子タバコや加熱式タバコ)による急性肺障害の調査協力のお願い(継続)

呼吸器学会

新型タバコ(電子タバコや加熱式タバコ)による急性肺障害の調査協力のお願い

令和2年1月23日

日本呼吸器学会
会員各位

禁煙推進委員会委員長 田坂定智
臨床諸問題学術部会部会長 喜舎場朝雄

拝啓

厳寒の候、日本呼吸器学会の会員各位におかれましては、ますますご健勝のことと心よりお慶び申し上げます。

さて昨年、米国においてニコチン含有電子タバコ(非タバコ製品)吸入開始90日以内に肺障害を認めた53例の若年者が報告されました(Layden JE et al. N Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMoa1911614)。

米国CDCの調査では、9月18日までに530例の電子タバコ関連肺障害(びまん性肺胞障害、急性好酸球性肺炎、過敏性肺臓炎、巨細胞性間質性肺炎、リポイド肺炎など)が報告され、7例が死亡したことが判明しました。その後も報告が相次ぎ、12月10日時点で2,409例に上っています。(https://www.cdc.gov/tobacco/basic_information/e-cigarettes/severe-lung-disease.html

日本においてはニコチン含有電子タバコは承認されていませんが、非ニコチン含有電子タバコ(非タバコ製品)や加熱式タバコ(タバコ製品)が販売されており、加熱式タバコによる急性好酸球性肺炎などの急性肺障害が報告されています(Respirol Case Rep. 2016 Nov; 4(6): e00190.、Respiratory Medicine Case Reports 26 (2019) 87-90)。

本学会は、他の学会に先がけて2017年10月31日に「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」を表明し、非燃焼・加熱式タバコは、依存性物質であるニコチンやその他の有害物質を吸引する製品であるため、その使用は推奨できないことを唱えています。

本学会におきましては、国立がん研究センターから平成30年9月前半をめどに、本人もしくは周囲のものによる加熱式タバコの使用が影響していると考えられた症例の調査の依頼がありましたが、改めて本学会主導で新型タバコ(電子タバコや加熱式タバコ)による急性肺障害の調査を行いたいと思います。なお本調査の実施については、弘前大学大学院医学研究科倫理委員会の承認を受けていることを申し添えます。以下に該当する患者さんをご存知でしたら、下記にあります情報提供先までご連絡をお願い致します。

①症例定義

以下のすべてを満たすもの。

(ア)発症の90日以内に電子タバコ(非タバコ製品)あるいは加熱式タバコ(タバコ製品)の吸入を開始した/あるいは電子タバコや加熱式タバコの種類や吸入量を変更した。

(イ)胸部XpないしCTでびまん性の陰影を認める。

(ウ)呼吸器感染症が感染症学的および臨床的に除外されている。

①感染症学的検査による感染症の除外:インフルエンザ迅速検査、マイコプラズマ抗原検査、喀痰/気管支肺胞洗浄液培養検査、血液培養検査、尿中肺炎球菌抗原検査、尿中レジオネラ抗原検査など、主治医が呼吸器感染症の鑑別に必要と判断して行なった検査が陰性。

②臨床的な感染症の除外:抗菌薬に反応しない肺障害。

(エ)他の原因(心不全、薬剤、自己免疫疾患など)、日和見感染のリスクとなる基礎疾患(HIV感染など)や医療介入(胸部放射線照射、生物学的製剤投与、抗悪性腫瘍薬投与など)がない。

②ご提供いただきたい情報(すべて揃っていなくても問題ありません)

1.年齢

2.性別

3.併存症/既往歴(特に呼吸器疾患)

4.家族歴

5.紙巻きタバコの使用歴

6.使用した新型タバコの種類や吸入量

7.新型タバコの開始時期

8.症状の種類と発現時期

9.急性肺障害の診断名

10.気管支肺胞洗浄液所見

11.経気管支肺生検/外科的肺生検所見

12.治療法

13.転帰

情報提供に当たっては、患者氏名など個人が特定できる情報を含まないよう、ご注意をお願い致します。

情報提供先

弘前大学大学院医学研究科呼吸器内科学講座 田坂定智

〒036-8562 青森県弘前市在府町5

FAX: 0172-39-5469

専用メールアドレス:evali@hirosaki-u.ac.jp

以上よろしくお願い致します。