新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)
COVID-19のいわゆる後遺症に関する研究:中間集計結果について
呼吸器学会より
昨年8月末から厚労省の特別研究として日本呼吸器学会が担当し行って参りました、COVID-19の「いわゆる後遺症」に関する研究の中間集計結果に関して、本日(2021.6.16)、厚労省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード会議の資料として公開されました。今回の資料は退院3か月を経過した512例に関して集計したものです。すでに研究参加の先生方には報告していますが、この度、本日発表されました一般の方向けの資料を参考まで掲載いたします。
COVID 19 後遺障害に関する 実態調査(中等症以上対象):中間報告
研究にご参加いただいている施設には、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。
以下は報告した結果のまとめです。
肺に関するデータ
退院3か月後の肺CT画像所見(353例/512例中)
- 退院から3か月後の肺CT画像上、入院時に肺炎を認めた353例の半数以上で肺炎の名残りを示唆する画像所見を認めた
⇒ 画像所見の詳細(本結果にコロナウイルス感染症罹患以前の肺の変化も含む可能性の確認を含む)は今後解析予定
(追記:異常が見られる方がVCやDLco低下がみられやすくなっている印象ですが、呼吸困難や咳といった自覚症状は画像異常の有無とそれほど関連ないようです)
肺機能検査:検査値が健康な人の 80%未満になる割合
- 肺機能検査の結果、肺拡散能(肺胞から肺毛細血管への酸素等の供給力(DLCO))の検査値が健康な人の 80%未満になる人の割合は本研究対象者全体の27%、拘束性障害(肺活量(VC)が低下して肺が十分に膨らまない状態)がある人の割合は本研究対象者全体の9%であった
- 低下例の頻度は、重症度に依存していた
自覚症状の遷延
- 発症急性期には①発熱86.9%、②咳67.3%、③倦怠感64.1%の順に多かったが、退院3か月後に見られた症状は、①筋力の低下53%、②息苦しさ30%、③倦怠感25%、④喀痰20%の順に多かった
- 倦怠感や痛み、思考力低下などは女性に多い傾向があった
- 症状の遷延のうち、筋力低下と息苦しさは重症度に依存し、倦怠感、嗅覚、味覚障害などは重症度に関連していないようであった
以上、現時点の集計結果から、本邦におけるいわゆる後遺症に関して、これまでの海外の研究報告と同様であると思われました。
一般社団法人日本呼吸器学会
理事長 横山彰仁