COVID-19 FAQ広場
FAQ広場は、新型コロナウイルス感染症に関する情報交換を目的としており、呼吸器学会員をはじめ医療従事者の方々に幅広くご利用いただきたいと思います。
Q66. SARS-CoV-2ワクチン接種による重篤な副反応はどの程度報告されているでしょうか。間質性肺炎などの肺障害の報告についてはいかがでしょうか。
ワクチン
回答
重篤な副反応としては、ショックやアナフィラキシーの他に、添付文書にも書かれている有名なものとして心筋炎・心膜炎があります。典型的には2回目の接種後に発症、多くは重篤化することはなく、頻度は10万人に1~2人前後、10歳代から20歳代の若年男性に多いとされています。また血栓症は逆に若い女性に比較的多く、10万回接種あたり1件以下~前後とされています。
ワクチン関連の死亡は、全身性炎症反応症候群(SIRS)に伴うとされ、最近日本からその機序についての考察が4例の剖検例をもとに報告されました1)。この4例も2回目の接種後の死亡で、突然死の原因は特定されなかったものの、炎症性サイトカインや好中球遊走に関わる炎症性遺伝子の過剰発現が認められたとのことです。
ご質問の間質性肺炎(IP)ですが、元々IPがなかった方に新たにIPが起こる場合と、基礎疾患にIPがある方が急性増悪を起こす場合との両方とも報告されています。新たにIPが起こる場合については、症例報告が数例報告されていますが、ワクチンによるIPの発症はインフルエンザワクチンでも報告があり、それと頻度が同程度かどうかはまだ不明です。また、基礎疾患としてのIPの急性増悪は、散発例が報告されていましたが、最近になって日本からの研究で約0.7%の方に起こると報告されました2)。IPFよりも膠原病関連などのIPに多く、自己免疫反応の関与も示唆されています。しかしIPでは自然経過で「年」数%の急性増悪発生があり(IPFで4-19%、膠原病関連IPで1.25-3.3%)ワクチンの関与が純粋にどの程度かは難しいと考えます。いずれにしろCOVID-19に罹患した場合の重症化率を考えると、病態が安定しているIP患者では、接種後の病状に注意すればワクチンを打つベニフィットがリスクより優る事が多いかと言えます。
1) Murata et al. Front Immunol. 2022 Aug 15. doi: 10.3389/fimmu.2022.967226.
2) Sakayori et al. J Infect Chemother. 2022 Sep 13. doi: 10.1016/j.jiac.2022.09.006.
(回答日:2022/9/27)