COVID-19 FAQ広場
FAQ広場は、新型コロナウイルス感染症に関する情報交換を目的としており、呼吸器学会員をはじめ医療従事者の方々に幅広くご利用いただきたいと思います。
Q65. COVID-19に罹患した場合、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンを接種する際に、接種時期や副反応についての注意点はありますか?
ワクチン
回答
COVID-19罹患後に肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなど他疾患の予防接種を実施する際の最適な時期や副反応についての定まった見解は検索しえた範囲では見当たりませんでした。
米国CDCでは、COVID-19患者やCOVID-19罹患後の最適なインフルエンザワクチン実施時期に関するデータはないことを述べたうえで、COVID-19の治療でIL-6阻害薬や高用量ステロイドなど免疫抑制を起こす治療が実施された際に、ワクチンの効果が減弱する可能性に言及しています。しかし、最適な接種時期や副反応については触れていません。(https://www.cdc.gov/vaccines/pandemic-guidance/index.html)
世界保健機関(WHO)では、COVID-19パンデミック初期の見解ですが症状が軽快し感染性が無くなれば他疾患のワクチン接種は問題ない、という立場です。(https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/331818/WHO-2019-nCoV-immunization_services-FAQ-2020.1-eng.pdf)
日本では日本小児科学会・日本小児感染症学会・日本外来小児科学会の小児 COVID-19 合同学会ワーキンググループによる診療指針でこの問題に言及しており、COVID-19 患者の予防接種(SARS-CoV-2 ワクチン以外)は、症状消失後 2〜4 週間程度(無症候性では診断後 2 週間程度)の延期が目安となる、としています。(https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/2021/11/%E3%80%90%E7%AC%AC2%E7%89%88%E3%80%91%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E5%A4%96%E6%9D%A5%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%872019%EF%BC%88COVID-19%EF%BC%89%E8%A8%BA%E7%99%82%E6%8C%87%E9%87%9D.pdf)
ここで引用されているのは日本ワクチン産業協会の予防接種に関するQ&A集(http://www.wakutin.or.jp/medical/index.html#faq)で、COVID-19罹患後に特化した記載ではないですが、一般的な予防接種の延期期間は、① 手足口病、伝染性紅斑、突発性発疹、かぜ等の場合は治癒後 1〜2 週間程度、② 麻疹では治癒後 4 週間程度、③ 風疹、おたふくかぜ、水痘では治癒後 2〜4 週間の延期が目安とされていることを参考に、COVID-19症状消失後 2〜4 週間程度(無症候性では診断後 2 週間程度)でSARS-CoV-2 ワクチン以外の予防接種が可能であるという見解を示しています。
(回答日:2022/9/20)