COVID-19 FAQ広場

FAQ広場は、新型コロナウイルス感染症に関する情報交換を目的としており、呼吸器学会員をはじめ医療従事者の方々に幅広くご利用いただきたいと思います。

Q46. SARS-CoV-2ワクチンとして開発中の経鼻ワクチンについて、mRNAワクチンと比較してのアドバンテージの可能性について教えてください。

ワクチン

回答

新型コロナのmRNAワクチンは腕の筋肉に接種することで、全身的に抗体やT細胞の免疫を作り出すことが期待されていますが、経鼻ワクチンは直接鼻に噴霧することで鼻や上気道などの粘膜に局所的な抗体反応やT細胞の免疫を引き起こすことが期待されます。ウイルスは鼻や上気道の粘膜を介して侵入してくることが考えられますので、経鼻ワクチンでは、ウイルスが人体に到達してすぐにウイルスを捉え、破壊できる可能性があり、研究が行われています。2021年7月にScience Advancesに掲載された研究報告(An et al. Protection of K18-hACE2 mice and ferrets against SARS-CoV2 challenge by a single-dose mucosal immunization with a parainfluenza virus 5-based COVID-19 vaccine. Sci Adv 2021;7:eabi5246.)では、新型コロナの経鼻ワクチン候補をマウスやフェレットに1回投与した効果が検討されています。その結果、マウス感染モデルでは上気道のウイルス増殖を抑制し、重症化を軽減しています。また、フェレットの感染モデルにおいても上気道のウイルス増殖を抑制し、感染伝播を防ぐことができたことが報告されました。今後、臨床試験が計画されていますが、局所投与ですので全身性の副反応の軽減も期待されます。

(回答日:2021/10/6)