COVID-19 FAQ広場
FAQ広場は、新型コロナウイルス感染症に関する情報交換を目的としており、呼吸器学会員をはじめ医療従事者の方々に幅広くご利用いただきたいと思います。
Q3. 免疫不全者で発症後何週経過してもSARS-CoV-2ウイルスPCR陽性の人がいますが、その場合の感染管理はどうすべきでしょうか
感染管理
回答
PCR検査の陽性とCOVID-19の感染性とは必ずしも一致しないことが知られており、非免疫不全患者、軽症・中等症患者では、PCR検査が持続陽性であっても発症10日目以降であれば感染性はほとんどないと考えられます1)。
問題はご質問の免疫不全患者においてですが、免疫不全患者30名(造血幹細胞移植患者・臓器移植後患者など重度の免疫不全患者11名)を含む129名の重症COVID-19入院患者の検討では、実際にウイルスが分離されたのは発症から15日以降で5%、20日以降で0%と報告されています1)。一方で、免疫不全患者20名を検討した別研究では、造血幹細胞移植後の患者2名とCAR-T細胞療法を受けた患者1名で発症後20日以降もウイルスが分離されたとの報告もあります1)。個人的な意見になりますが、免疫不全であっても重度でない場合(例:PSL>30mg >14日間を超えないなど)では発症後20日目以降で感染性の可能性は低いと考えて対応し、造血幹細胞移植患者など重度の免疫不全患者においてはPCR陽性が持続する場合にはより慎重な対応を行うことが、現時点での現実的な対応かと考えられます。
1) 発症からの感染可能期間と再陽性症例における感染性・二次感染リスクに関するエビデンスのまとめ(国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/10174-covid19-37.html
(回答日:2021/3/8)