呼吸器Q&A
Q31. 気管支鏡検査とはどのような検査ですか?
気管支鏡検査とは
肺や気管支の病気を診断するための内視鏡検査、いわゆる肺カメラの検査です。気管支鏡の太さは約3から6mmくらいの細くて柔らかい管で、一般的な胃カメラより細くできています。また、一番先端には小型のCCDカメラが搭載されており、外部のモニターで口の中から気管支の中を見ることが出来る機器です。この検査が行われるのは、(1)肺がんや間質性肺炎、感染症などの病気を疑う場合、(2)痰に血が混じる、痰が詰まって息が出来ない場合、(3)入れ歯などの異物を誤嚥した場合などがあげられます。
検査の方法および流れ
検査前の4時間は絶食とし、検査直前に霧状の麻酔薬を吸入したり、局所麻酔薬のスプレーをのどにかけたりして不快感を取り除くようにします。検査台に仰向けなり、心電図、酸素濃度や血圧を測定するモニターを装着します。また、検査中に薬剤から目を保護するために目をガーゼなどで覆い隠します。その後、気管支鏡を鼻または口から挿入していきます。検査中は息をすることが出来ますが、声を出せませんので、事前に何かある際の合図の確認をしておきます。検査時間は通常20から30分程度ですが、検査や処置内容によって時間を要する場合もあります。最近では、胃カメラなど同じように、痛みを感じないように全身麻酔で眠っている間に検査を行う施設が多くなってきています。
検査の種類
①経気管支肺生検
肺から組織を鉗子(かんし)で摘まんで取ったりする検査
②擦過細胞診
病変部をブラシなどでこすり取る検査
③気管支肺胞洗浄
肺の中に50mL x 3回の生理的食塩水をいれて洗ったものを回収する検査
④針生検
経気管支肺生検ではアプローチできない場合や気管支に接するリンパ節や縦隔腫瘍に対して気管支鏡下に気管支壁を通して針を刺し、陰圧をかけて吸引してとってくる検査気管支内超音波ガイド下に行うと、安全確実に検体を採取できる。
合併症
息苦しさ、咳などの呼吸器症状、肺や気管支からの出血、検査後の発熱・感染症(特に肺炎)、気胸、麻酔薬によるアレルギーや中毒などが起こりえます。担当医より提示される各検査の説明文書を参照してください。合併症に対しては、内科的または外科的処置が必要になることがあります。
注意点
脳や心臓の持病のため、抗凝固薬や抗血小板薬(血をサラサラにする薬)を服薬中の患者さんは、検査による出血の危険性があるため、前もって担当医師の指示を仰ぐ必要があります。
その他
病変の大きさや場所によって検体がうまく取れないこともあります。その場合、気管支鏡検査に代わる検査を検討しなければなりません。代わる検査としては、CTガイド下肺生検、胸腔鏡補助下肺生検などがあります。
参考サイト:日本呼吸器内視鏡学会;「気管支鏡による検査、治療について」Q&A http://www.jsre.org/qa.html
(2024年9月)