呼吸器Q&A

Q24. 胸部エックス線画像で異常があり、厚い壁と内部に空気を持つ影(空洞影と呼びます)と言われました。

空洞影とは?

 「空洞影」と呼ばれる異常影は、肺の一部が壊れて穴があき、その穴を囲む壁が厚い状態を表しています。この厚い壁は炎症によって生じます。壊れた肺と炎症物の一部が抜け落ち、気管支を通じて外に排出されるために空洞となります。ですから、血痰や喀血などを伴うこともよくあります。

どのような原因が考えられますか

 空洞ができる原因は、感染症と腫瘍の二つが主に考えられます。
 感染症の場合は、病原菌が肺内で炎症を生じ、一部の肺を壊すために穴があいた状態となります。結核などの抗酸菌、アスペルギルスなどの真菌、寄生虫が原因となります。また嫌気性菌、ブドウ球菌やクレブシエラ菌、ノカルジアなどの細菌によることもあります。感染症では多くの場合、空洞影の周囲にバラバラと散ばる影がみられます。また、アスペルギルスでは、空洞内に菌球というボール状の丸い塊を認める特徴があります。
 発熱や黄色いたん、せきなどの症状を伴うことが多いですが、症状が乏しい場合もあります。また活動性結核の場合、空洞を有する患者さんは菌の排出量が多く、人にうつしやすい状況です。
 一方、腫瘍が原因の場合は、肺内で腫瘍細胞が増えて壊れる(壊死)ことにより生じます。タバコを吸っている人になりやすい扁平上皮がんでは、空洞がみられる頻度が高いですが、その他のタイプでも生じます。また転移性のがん(原発が肺以外のがん)でも生じます。
 症状は血痰がでることがありますが、発熱がみられることは少なく無症状のこともあります。

診断はどのようにしますか

 たんの検査で、細菌・真菌・抗酸菌などの病原菌の有無や悪性細胞の有無をチェックします。また、胸部CTで病変の特徴や広がりなどを評価します。その画像を参考にして、気管支鏡検査で空洞病変部を洗浄し病原菌や細胞を採取したり、生検をして診断を行います。

治療法について教えて下さい

 感染症の場合は、原因菌に対する投薬(抗結核薬、抗真菌薬、抗菌薬など)を行います。一方、腫瘍の場合はがんに対する治療が必要となります。

空洞影

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