呼吸器Q&A

Q23. 胸部エックス線画像で異常があり、淡いすりガラスのような影(間質影と呼びます)だと言われました。

どのような病気が考えられますか

 胸部エックス線画像で見られる淡いすりガラスのような陰影は、間質影(かんしつえい)と呼ばれます。肺には、気管支が何度も枝分かれをした先に「肺胞」という空気と血液中のガスの交換をする小さな袋が多数あります。この気管支や肺胞といった空気が入る場所の間を「間質」と呼びます。この間質に炎症がおきると淡いすりガラスのような影が見られます。間質影が見られるとは、間質に炎症を起こす病気「間質性肺疾患」が疑われます。
 「間質性肺疾患」とは一つの病名ではなく、多くの病気を含んだ総称です。原因が分かっている病気としては、ウイルスやマイコプラズマなどの病原体による肺炎、外界より吸い込んだ物質のアレルギーで生じる過敏性肺炎、薬が原因で生じる薬剤性肺炎、関節リウマチや皮膚筋炎などの膠原病に伴う間質性肺炎、放射線治療によって生じる放射線肺炎、サルコイドーシス、肺胞タンパク症、じん肺等があります。一方、原因がわかっていない特発性肺線維症もあります。

診断はどのようにしますか

 間質性肺疾患の症状は、せきと息切れです。熱が出る場合もあります。程度が軽い場合、症状があまりないこともあります。間質影の広がりや程度を見るために胸部CTを、また肺活量やガス交換能の低下を調べるために肺機能検査を行います。
 採血では間質の炎症マーカーを調べたり、膠原病など原因となる病気について調べます。職業や生活環境、服薬歴、過去の病歴などをくわしくきくことが、病気の診断に重要です。
 診断や治療方針を決めるために、気管支鏡や胸腔鏡検査等で肺の一部を採取する組織検査を行うこともあります。

治療法について教えて下さい

 原因により治療が異なります。病原体による肺炎であれば、適切な抗菌薬の使用が必要になることがありますし、薬剤性肺炎や過敏性肺炎の場合は原因として疑われる薬剤の内服中止や原因物質の吸入を回避することで改善することもあります。一方、症状や程度によっては経過観察で済む疾患もかなりあります。また間質性肺炎の場合などは、合併する原疾患により対応が異なり、病気の程度や進行の速さなどから副腎皮質ホルモンや免疫抑制薬による治療が必要となる場合がありますし、特発性肺線維症では、状況に応じて抗線維化薬を使用する場合にもあります。さらに重症例では、酸素が取り込めない状況になり酸素療法が必要となります。