呼吸器Q&A

Q20. 下肢が腫れ(むくみ)ました。

下肢のむくみ

 身体を構成する組織の水分が異常に増えた状態を「浮腫=むくみ」といいます。頻度が多いのが細胞の周りの細胞外液という液体が異常に増加した状態です。細胞外液は血液の流れによって運ばれた水分が毛細血管からしみ出してきた液体で、その多くは毛細血管で再吸収されます。一部はリンパ管を通って最終的に静脈へ流れこみます。静脈やリンパ管の流れが滞ると細胞外液が増加します。むくみは全身に起こりうる状態ですが、重力の影響で心臓より下にある下肢は他の部位よりもむくみが出やすい場所です。

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下肢のむくみが見られる時はどのような病気が考えられますか?

 健康な人でも長時間立ったままだと下肢にむくみが見られることがあります。一過性のものは病的ではない場合が多いですが、起床時から一日中むくんでいたり、下肢の痛みや皮膚が赤くなっている場合は受診が必要です。
 心疾患、腎疾患、肝疾患、栄養障害、内分泌疾患などもむくみの原因となる場合があります。これらの疾患の初期は下肢にだけにむくみが見られ、進行とともに全身に広がっていきます。下肢に見られるむくみで、左右の下肢のむくみ方が異なる場合は、むくみが強い側の血管やリンパ管に問題があると考えられます。特に問題となるのが太い静脈の中に血液のかたまり(血栓)ができる静脈血栓症です。この血栓が肺まで流れて肺動脈を閉塞するのが肺血栓塞栓症で、血栓が大きいと命に関わります。
 また、呼吸器疾患が悪化すると、肺の中を血液が流れにくくなり心臓に大きな負担がかかります。このような状態では心臓に戻る血液の流れが悪くなり下肢にむくみが見られるようになります。呼吸器疾患に伴う下肢のむくみは病状が重症であることを示す場合があります。

下肢より上肢に強いむくみが見られる時はどのような病気が考えられますか?

 下肢より上肢に強いむくみの場合は、上大静脈の閉塞が考えられ上大静脈症候群と呼ばれます。原因は、原発性肺癌、縦隔腫瘍(悪性リンパ腫など)などの悪性疾患が多くを占めています。