呼吸器Q&A

Q14. 夜、いびきをかく、と言われました。

はじめに

 家族から、「いびきがうるさくて眠れない」といわれたことはありませんか。自分自身は眠っているので自身のいびきに気がつかないことが多いですが、意外と多い症状です。あまりいびきがひどいと、友人や家族から嫌がられ、一緒に旅行してもらえないこともあります。また、十分な時間の睡眠をとったにもかかわらず、日中に眠気を感じる場合は、いびきが社会生活に影響を及ぼしている可能性もありますので、専門医の診察を受けるのが望ましいでしょう。

どうしていびきをかくのですか。やはり病気ですか?

 いびきの原因は、咽頭(のど)が狭くなって、息を吸うときに狭くなった部分に空気が通過するため、のどが振動して音がでることです。特に眠ってしまうと、のどを支えている筋肉がゆるむため、よけいに咽頭が狭くなるのです。もともと日本人は、顎(あご)が小さい人が多く、肥満や飲酒や睡眠薬によっていびきが出現しやすくなります。いびきを引き起こす病気としては、咽頭扁桃(アデノイド)が腫れた場合や口蓋垂(のどちんこ)が大きい場合、かぜや鼻炎で鼻が詰まっている状態、鼻中隔彎曲(鼻の骨が曲がった状態)、極端な肥満、次の項で述べる睡眠時無呼吸症候群などがあります。本人は眠っているので気がつきませんが、一見熟睡しているようでも睡眠が不安定なため睡眠不足に陥っています。現在のところいびきは疾患として認められていませんが、慢性的ないびきは決して望ましい状態とはいえません。

放っておいても大丈夫ですか?

 飲酒した時、あるいはかぜを引いた時だけいびきをかく場合は、おおむね心配ありません。しかし、病気が原因となっているときは、慢性的な睡眠不足となり生活に支障をきたすこともあり、いびきの原因となった病気を治す必要があります。特に、症状があったり、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群では日中の過度の眠気のため事故の危険があり、また、高血圧などの生活習慣病の原因や、悪化の原因にもなりますので、早めに診断と治療が必要です。

どのような治療法がありますか。

 いびきが軽い場合は、横向きで眠るといびきをかきにくくなります。またいびき防止のマウスピースを装着するといびきが減ることもあります。
 特に小児の場合は咽頭扁桃(アデノイド)が腫れた場合は、のどを狭くしている部分を手術で切り取ることで治します。副鼻腔炎(ちくのうしょう)や鼻中隔彎曲症も手術が有効です。アレルギー性鼻炎は吸入薬や飲み薬で鼻づまりを抑えます。これらの治療は、一般に耳鼻咽喉科で行われます。
 肥満が原因の場合は、ダイエットに取り組みましょう。飲酒と肥満は密接に関係していますので、アルコールを控えながらダイエットするとよいでしょう。最も問題となる睡眠時無呼吸症候群も、肥満が原因であることが大半です。睡眠時無呼吸症候群の治療は次項の「夜間の無呼吸」を参照して下さい。

どの科にかかったらよいですか。

 症状がいびきだけの場合は、咽頭に問題がある場合が多いので耳鼻咽喉科で診てもらうのがよいでしょう。しかし、前述したように、原因が極度の肥満や、睡眠時無呼吸症候群であるときは、呼吸器科(呼吸器内科)が適切な場合もあります。診断に呼吸機能検査やポリソムノグラフィー検査、MRIやCTなど放射線検査が必要となるからです。診断や治療は、耳鼻咽喉科の医師と呼吸器科の医師が連携して適切に判断しなければならないこともあります。詳しく調べて適切な治療を受けるには、耳鼻咽喉科と呼吸器科のある総合病院を受診するか、かかりつけ医や近所の耳鼻咽喉科医から紹介してもらうのがよいでしょう。
 病院によっては、「いびき外来」や「無呼吸外来」といって、いびきや睡眠時無呼吸を専門に扱っているところもあります。