呼吸器Q&A
Q4. たんに血が混じりました。
どのようなことが考えられますか?
口から血が出た場合、血痰や喀血だけでなく、鼻の中・口の中(歯肉・舌等)・のど(咽頭・喉頭)からの出血の可能性も考えられます。血痰や喀血は咳をしたときに出るのが特徴ですので、どこからの出血かを見分けるための参考になります。
痰(たん)に血液が混じっている場合は「血痰(けったん)」、ほとんどが血液そのものである場合は「喀血(かっけつ)」と呼ばれます。血痰も喀血も肺や気管支からの出血が原因です。
一方、吐血(とけつ)は食道や胃からの出血です。血痰や喀血が鮮紅色であるのに対して、吐血の場合は嘔吐とともに出てきて、胃酸の影響で暗赤色や黒褐色のことが多く、この色の違いで区別できます。
血痰の原因は肺がん、肺結核、非結核性抗酸菌症、気管支拡張症、肺炎、肺アスペルギルス症、肺梗塞、心不全などさまざまな病気が考えられます。また抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を服用している場合、血が固まりにくくなり出血しやすくなることもあります。
どのようにしたら良いですか?
血痰は多くの病気が原因となりますので、まずは医療機関への受診をお勧めします。医師は問診や診察を行い出血の原因を探します。例えば鼻の中・のどからの出血であれば「耳鼻咽喉科」、血痰・喀血が見られる場合は「呼吸器科」、吐血の場合は「消化器科」が専門になります。よく分からない場合は「内科」を受診することをお勧めします。
血痰の原因を調べるために行われる検査はたんの検査、血液検査、胸部エックス線検査、CT検査等が行われます。さらに必要であれば気管支鏡検査を行うこともあります。
これらの検査で診断がつけば原因の病気に対し根本的な治療を開始します。例えば肺炎・肺結核といった感染症であれば抗菌薬や抗結核薬の投与が、肺がんの場合であれば病気の進行具合によって手術・放射線・薬物治療などが選択されます。
原因の病気が見つかり治療が始まるまでは、対症療法として止血剤投与が行われることがあります。止血剤を使っても喀血が治まらない場合や、大量の喀血がある場合には、足の付け根からカテーテルを入れ出血している血管に閉塞させる「気管支動脈閉塞術」という治療が行われます。
咳に伴う血痰・喀血がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。