呼吸器の病気
I.その他
肺移植
はいいしょく
肺移植とは、重い肺の病気の患者の肺を取り出し、その替わりに提供者の新しい肺を移植する治療法です。他に有効な治療法がなく、生命の危険が迫っていて(2年生存率が50%以下)、肺移植によって元気になることが見込まれる場合に行われます。脳死肺移植と生体肺葉移植の2種類があり、手術の種類としては両肺移植と片肺移植があります。
肺移植は我が国では1998年から実施され、2015年末時点で累計数は464例(脳死片肺移植150例、脳死両側肺移植133例、生体肺葉移植181例)です(図1)。症例数の多い適応疾患は、リンパ脈管筋腫症、特発性間質性肺炎、肺高血圧症、気管支拡張症、造血幹細胞移植後肺障害となっています。
図1 肺移植症例の年次推移
肺移植を受けた患者の生存率は、脳死肺移植の場合、5年および10年生存率は各々72.1%、58.8%、生体肺葉移植の場合、各々71.7%、65.9%となっています(図2)。2010年7月に改正臓器移植法が施行され、本人の書面による意思表示がない場合でも家族が同意する場合には脳死下臓器提供が可能となり、脳死臓器移植数は増加傾向にあります。
図2 術式別生存率(2015年末現在)
なお、肺移植の詳細については、日本移植学会のホームページや日本肺及び心肺移植研究会のホームページをご参照ください。