呼吸器の病気
A. 感染性呼吸器疾患
肺結核
はいけっかく
概要
結核菌という細菌が肺に感染して起こる病気です。肺以外にもリンパ節、腸、骨などにも感染します。肺結核は人から人に感染します。
疫学
かつて「結核は国民病」といわれましたが、患者数は減少しています。平成26年に新たに発病した患者数は19,615人で、他の先進国より現在も多く、大都市で多い傾向があります。
感染の経路と発病
せきをしたときに出る細かいしぶきに結核菌が含まれており、近くにいる人が吸うと感染します。食器などの物から結核がうつることはありません。
感染しても発病する人は10%程度です。多くの人は感染に抵抗して免疫が出来ますが、その後高齢になったり、免疫力が落ちたときに発病することがあります。
症状
せき、たん、血たん、だるさ、発熱、寝汗、体重減少などが出ることもあります。せき、たんが出る場合、他人にうつる可能性が高くなります。2週間以上せきが続く場合、血たんがある場合には胸部エックス線検査を受けましょう。
検査
胸部エックス線検査、胸部CT検査で特徴的な影を見つけます。ツベルクリン検査や血液検査(QFT検査など)で分かる場合があります。たんを調べ、顕微鏡観察や培養(6週間かかります)で菌があれば診断になります。
治療
結核と診断されたら、抗結核薬の内服治療をします。4種類の治療薬と副作用予防の薬を内服するため、多くの薬を毎日飲むことになります。治療は6ヶ月(2ヶ月治療したら2種類の治療薬に減ります)間と長く、途中でやめずに治療終了までしっかり続けます。治療が中途半端になると薬剤耐性結核となり、薬が効かなくなってしまいます。
結核菌がたんから大量に出ている場合には菌が減ってくるまで結核専門施設で入院治療をします。
治療費の公的補助
結核と診断された場合には、医療費の一部が公費で負担されます。
生活上の注意
せきが出る場合、必ずマスクをします。服薬は毎日忘れずにします。
規則正しい生活をし、飲酒や過度の労働は控えます。
予後
結核は治療をしっかり最後までできれば、ほぼ治る病気です。確率は低いですが、再発することがありますので、治療後2年間は定期的に胸部エックス線検査をします。
詳しい情報は結核予防会結核研究所のホームページを参照してください: