災害時の対応について

5)びまん性肺疾患に関するQ&A

Q1.間質性肺炎の病気で、被災時に注意する点を教えて下さい。

A1.被災をきっかけに病状が悪化する場合があるので注意して下さい。例えば、埃や煙などを吸い込むと咳、痰や息苦しさなどの症状が悪化することがあります。また熱が出たり、肺炎になったりすることがあります。埃や煙などがある場合は、なるべく吸い込まないように、マスクや手ぬぐいなどで鼻と口を被いましょう。たくさん吸い込み体調が不良となったら早めに連絡あるいは受診が可能な医療機関を探して受診して下さい。
普段よりも咳、息切れなどの自覚症状が悪化したり、経皮酸素飽和度が普段より低値となったり、低値からの回復が遅れるようなら、早めに連絡あるいは受診が可能な医療機関を探して受診して下さい。被災時にお薬が無くなる場合、在宅酸素が使用できない場合等が想定されますのでQ2、Q3をご参照ください。

Q2.間質性肺炎で治療中のお薬が無くなった場合の対処法は?

A2.間質性肺炎の治療薬は、大きく、1)ステロイド薬、2)免疫抑制薬、3)抗線維化薬(ピレスパ、オフェブ)、4)鎮咳薬、5)その他、に分かれます。
1)については、長期間、一定量(プレドニゾロン換算で1日5mg程度)以上を服用している場合は、中断すると倦怠感、吐き気、頭痛、血圧低下といった体調の変化や病状の急速な変化を起こす危険性がありますので注意が必要です。2)3)については病状が不安定となる可能性があります。体調に変化があった場合は、連絡あるいは受診が可能な医療機関を探して受診して下さい。
1)2)3)については災害に備えて1、2週ほど予備薬があると良いでしょう。

Q3. 避難所など狭い環境生活で注意することは何でしょうか?

A3.自宅など日常生活とは異なる環境であるため、病状が悪化するリスクを少しでも避けていただくことは重要です。いわゆる急性増悪のリスクを高めないように、以下の4点を意識していただくことがよいと思います。

1)室内でもマスク着用
避難所は狭く混雑しているのでホコリも舞っています、また感冒なども起きやすいのでマスクは使用してください。空気も乾燥しているのでマスクは口腔ケアにもつながります。
2)口腔ケア
歯磨きなどは重要ですが、もし水道が十分に使用できない場合でも、うがいなどで口腔内の清潔は保つようにしてください。特に高齢者では誤嚥による病状悪化が起きやすいので、水やお茶でのうがいだけでも定期的に行ってください。
3)適度な運動
避難所生活が長くなると、運動不足による体力低下、特に呼吸する肺機能が悪くなってしまいます。下記「おすすめリハビリテーション動画」にある運動などを可能であれば継続しておくとよいです。
4)動作の工夫
狭いスペースでの生活になるので、呼吸に少しでも負担がかからないような動作を薦めます。
苦しい動作が蓄積すると呼吸する肺機能も低下してしまうので、日々の動作は以下の図を参考にしてください。

息切れしない動作の工夫

1.起き上がり方

急に起き上がると息苦しくなります。ゆっくりとからだを起こしましょう。

息切れしない動作の工夫 起き上がり方

2.着替え方

腕を肩より上に上げたり、前かがみの姿勢をとると息苦しくなります。呼吸を止めずにゆっくりと行いましょう。

頭からかぶる服の場合

息切れしない動作の工夫 着替え方

ズボンや靴下の場合

息切れしない動作の工夫 着替え方

病気と上手につきあうための呼吸リハビリテーション(間質性肺疾患)|べーリンガープラス (boehringer-ingelheim.com) より引用

Q4. 避難所でも行えるようなリハビリテーションはありますか?

A4.間質性肺炎など慢性的に肺機能が低下している病状であれば、特に高齢者では被災による運動不足が肺機能のさらなる悪化につながってしまいます。短時間でも狭いスペースでも呼吸リハビリテーションになる運動は継続しておくが望ましいです。以下のサイトなどがあります。

おすすめリハビリテーション動画

Q5.在宅酸素療法中あるいは在宅人工呼吸療法中に停電になった場合の対処方法とは?

A5.閉塞性肺疾患に関するQ&Aをご参照下さい。