活動・取り組み
日本呼吸器学会 海外学会参加助成 被助成者一覧
ERS 2024 参加報告書
東京大学医学部附属病院
工田 啓史
今回、日本呼吸器学会 海外学会参加助成を利用し、ERS 2024(ウィーン、オーストリア)に向かいました。演題としては、Deciphering NEUROD1's target genes and miRNAs: an integrative analysis in small cell lung cancerというタイトルですが、小細胞癌の主要制御因子の一つであるNEUROD1の標的遺伝子やmiRNAに付いて解析を行ったデータをポスター発表させていただきました。海外学会としてはATSなどもありますが、日本呼吸器学会総会と時期も近かったこともあり、ちょうどいい時期になる、また自身も発表経験がなかったことからERSでの参加を選択した次第です。
前述の通りポスターセッションでの発表でしたが、正直なところ、予想に反してカジュアルな雰囲気が広がっており、少し驚きました。あまりスーツも来ている人もなく、議長はフランスの方々でしたが、リュックを背負ってふらっと2人程度で現れ...と、いい意味で日本とのギャップを感じました。欠席している番号もあったり(ただこのあたりはペナルティがあるようなのですが)、そもそも時間通りに来てない人たちもそこそこいたり...と、当たり前ですが日本とは違うなあ、という印象でした。ただ一方で基礎的な内容でやや難解であり、かつ、自身のつたない英語であったにも関わらず、皆さん真剣に話を聞いてくださり、理解しようとしてくださっている気配が伝わってきました。いろいろな国の方々から質問も受けまして、いわゆるコロナ前の活気が戻ってきているのだなあと思いました。コロナのときに国際学会のWebに出したことはあるのですが、やはり質問などをわざわざ投稿する人などはほぼおらず、その場での交流の意義をよく感じました。
また、他のポスターの発表やSymposiumも回らせていただきました。やはりヨーロッパ、と一括りにいっても多くの国があるため、ポスターの内容一つとっても日本ではあまり行われていない検査や、あるいは逆に日本では当たり前に行われているものなどの差異がしっかりとある状況が見て取れましたし、一方でSymposiumでは特にDPP-1阻害薬などの最新の知見のまとめなどが得られました。Conference以外では、今回は助成もあったことから5日間のしっかりとした参加ができ、時差ボケなども抑えられ、ウィーンの美しい街や美味しい料理(ザッハトルテやウィンナーシュニッツェルなど)をゆっくりと楽しむことができましたのも素晴らしかったと思います。
海外学会ではありますが、上記のようなややゆるさがあり、発表するのにもさほど苦がなく、一方でReviewやシンポジウムなどの質の高いまとめを聞くことができる非常に参加価値の高い学会であると思いますので、ぜひ皆さん挑戦していただければと思います。