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ERS 2024 参加報告書

結核研究所
古内 浩司

1) ERSに参加した理由

 私は、最近日本でも増加傾向にある肺非結核性抗酸菌症の気道上皮細胞における、遺伝子発現解析についての研究内容について発表するためにERS2024に参加しました。肺非結核性抗酸菌症は、近年欧州でも注目されている気管支拡張症と非常に関連のある分野であり、自分の研究内容について、国際的な専門家からフィードバックを得ること、また、気管支拡張症の基礎研究など自分の研究と関連のある内容について、最新情報をアップデートすることが目的でした。

2) 発表されたセッションの感想

・よかったこと
 私の発表では、多くの参加者が興味を持ってくれ、質疑応答の時間も非常に活発でした。私は、ERSの参加は初めてでしたが、米国の学会と比較して非ネイティブの方が多いこともあり、英語があまり得意ではない自分でも、比較的英語での議論がしやすい環境だと感じました。
・国内学会参加との違い
 やはり国やバックグランドが異なる研究者が集まっていることもあり、国内学会に比較すると、研究内容へのシンプルかつ直球な質問が多いように感じました。しかし、その分、直感的に重要な点、客観的な疑問点などが浮き彫りになり、今後研究をさらに進めていく上で際の参考になったように感じます。

3) 参加、聴講したプログラムの感想

 ERS2024では肺非結核性抗酸菌症のみのセッションは非常に少なく、気管支拡張症関連のシンポジウムやポスターセッションを中心に参加しました。CFTRモジュレータの発展により嚢胞性線維症が治療可能な疾患となったことで、非嚢胞性線維症の気管支拡張症に注目が集まり、近年欧米を中心とした第三相試験で新しい機序の治療薬(DPP-1阻害薬)が成功を治めたことで、シンポジウムはどれも大変な盛り上がりを見せていました。自分の研究と関連のあるセッションでは、積極的に質問を行い、英語で正確な議論を進めることの難しさを感じながらも、今後の研究のヒントを得ることができました。

4) その他conference以外での体験など

 ウィーンは文化と歴史の豊かな街であり、学会の合間に市内を散策する機会がありました。宮殿や教会を訪れ、オーストリアの豊かな文化に触れられたことは、非常にリフレッシュになりました。

5) 今後参加若手医師へのメッセージ

 国際学会への参加は、自分の研究を世界に発信するだけでなく、多くの新しい知識や視点を得る貴重な機会です。自分の研究を広く発表することで、他の研究者からのフィードバックを得て、次の研究への知見やモチベーションを得ることもできます。若手の先生方にも海外学会への積極的な参加をお勧めします。

 最後に、このような形でERS 2024への参加をご援助頂き、貴重な経験を積むことができたことに対して改めて感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。