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ATS 2024 参加報告書

千葉大学医学部 呼吸器内科
岡谷 匡

 私は千葉大学呼吸器内科学の大学院在籍時,主に肺高血圧症に関する基礎研究・臨床研究に従事させて頂きました.特に,基礎研究では『間質性肺炎合併肺高血圧症におけるCD26/DPP4の機能的役割』というテーマを頂戴し,合計4年の間,動物実験と細胞実験に注力したような経緯でした.幸いにして,同研究は今年1月に国際誌へ原著論文として公表され,私の大学院における博士論文として結実させることが出来ました.
 基礎研究を主にご指導下さった川﨑 剛先生は、米国イリノイ大学シカゴ校へ留学された経験から,同大学関連の研究者らと現在も交流があり、ATS学会の参加経験が豊富です.そのため,私が基礎研究を進める過程において,大学院を卒業することや原著論文を執筆することに加え,自身の研究をATSで発表することが自身の研究テーマに向き合うモチベーションの一つでした.そのため,サンディエゴで開催されたATS2024への参加を希望したのは自然な経緯であったと思います.

 私が発表したセッションは,肺高血圧症に関する基礎医学的な内容における『Poster Discussion』でした.過去に何度か国際学会で発表した経験はありましたが,同セッションは英語でのより柔軟なコミュニケーションが求められることより,当日は非常にナーバスになりました.しかし,発表に向けた準備を行い、会場内で当科の科長である鈴木 拓児先生や川崎先生に見守られる中,自身の研究に関する概要を無事にプレゼンテーションすることができました.また,ATSの期間中は研究発表以外にも様々な貴重な経験を積ませて頂くことができました.具体的には,各国の肺高血圧症のスペシャリストの先生方による最新のTopicに関するご講演を拝聴でき,日本に戻ってからの臨床や研究活動に活かせる知識を吸収することができました.さらに川﨑先生のご厚意により,シカゴ3大学(University of Illinois at Chicago, University of Chicago, Northwestern University)の在職者・在学生・卒業生による合同Reception Partyにも参加させて頂き,国内外の研究者と楽しい時間を過ごすことができたことも幸運でした.

 自分は呼吸器内科の医師としても研究者としてもまだまだ修行半ばですが,もし後輩の呼吸器内科医師へ何か伝えられることがあるとすれば,「国際学会で得られる経験値は参加に要する努力量を必ず上回る」ということに尽きます.新型コロナウイルス感染症の影響からか,国際学会に参加する日本人医師の数は以前に比べて少ないと伺っております.来年以降,本邦より国際学会へチャレンジされる後期レジデント及び大学院の先生方が増えていく流れが出来たら,国内外の呼吸器学会がさらに盛り上がるのではないかと想像しております.

 最後になりますが,今回の参加に際しまして,多大なるご支援をして下さいました日本呼吸器学会の委員及び事務の皆様方には心より感謝を申し上げます.本当に有難うございました.今回頂戴しました貴重な経験を糧に,新天地でも微力ながら診療や研究,教育に邁進して参ります.

ATS 2024

(現地にて撮影:左から川﨑剛先生,自分,鈴木拓児先生)