活動・取り組み

日本呼吸器学会 海外学会参加助成 被助成者一覧

ATS 2024 参加報告書

筑波大学
蔵本 健矢

 今回、2024年5月にアメリカ、サンディエゴで開催されたAmerican Thoracic Society (ATS)2024に参加したのは、自身が進めている「酸化ストレスと難治性喘息」に関する研究を国際的な舞台で発表するためでした。臨床医として現場で患者さんと向き合う中で、基礎研究への興味が高まり、大学院に進学して難治性喘息のメカニズム解明に取り組んできました。今回の学会参加は、日本呼吸器学会の海外学会参加助成を受けて実現しましたが、初めての国際学会であり、発表の機会を得たことは大変貴重な経験でした。
 私の発表はPoster Discussion Sessionで行いました。このセッションでは、参加者同士が最初の1時間にお互いのポスターを見て回りながら自由に質疑応答を行い、その後、観衆の前に集まり一人ずつショートプレゼンテーションを行いました。司会の先生方、会場から質問があればその場でディスカッションを行っていました。国内の学会とは異なり、このセッションはディスカッションが重視されており、参加者が自由に発言できる雰囲気が印象的でした。ポスターセッションではいろんな方が発表を見に来てくださり、私自身、不慣れな英語での発表でしたが、質問者はとても丁寧に話してくれたため、なんとか意思疎通ができました。また、新しい視点からの質問も多く、今後の研究の方向性を再考する上で非常に参考になりました。一方で、ディスカッションセッションでは時間の関係で私の発表に対する議論が十分にできなかったことは少し残念に感じましたが、それでも他の参加者の発表を聞く中で多くの学びがありました。
 また、Rapid Poster Discussion Sessionにも参加しました。こちらでは、少人数のグループで短いプレゼンテーションを行った後、座長の進行で質疑応答が行われました。この形式は国内学会にはあまり見られないもので、座長の巧みな進行と鋭い質問が印象に残りました。広い会場で多くのポスター発表がなされており、私の研究と密接に関連していた酸化ストレスや喘息における好中球の役割に関する研究発表もいくつかあり、気道上皮細胞の役割や新しい研究手法についても有益な知見を得ることができ、得られた情報は今後の研究に大いに役立てたいと考えています。
 学会以外の面では、開催地であるサンディエゴの美しい街並みや食文化も楽しむことができました。日常業務を離れ、集中して研究に向き合う機会を得たことで、心身ともにリフレッシュでき、研究と日常業務のどちらにも真摯に取り組む意欲が一層高まりました。
 最後に、今後国際学会に参加を考えている若手医師に対して、ぜひ一度挑戦してほしいと伝えたいです。国際学会での発表は、研究の一区切りとしての達成感を感じるだけでなく、異なる視点や新しい知識を得る絶好の機会です。特にATSのような大規模な学会では、各国の研究者と直接意見交換ができる点が大きな魅力です。このような場での経験は、研究者としての視野を広げ、さらなる成長につながると確信しています。
 改めまして、日本呼吸器学会より海外学会参加助成をいただき、貴重な経験を積むことができました。心より感謝申し上げます。