活動・取り組み
日本呼吸器学会 海外学会参加助成 被助成者一覧
APSR 2024 参加報告書
東京大学 呼吸器内科
中川 夏樹
1)今回APSRに参加した理由
演題2題発表のため。発表や講演聴講、Gala dinnerを通じた、国際的な交流のため。
2)発表されたセッションの感想
① Young Investigator Award Oral Presentation 1
栄誉ある表彰を頂き、大変光栄でした。同時並行の大会場での講演が3つあったこともあり、セッション自体の参加者はそれほど多くありませんでした。また受賞講演のため様々なテーマ(基礎も臨床も公衆衛生も。また疾病についても様々な領域。)が混在していることもあり、私が発表した肺炎の専門の方はおそらくそれほど多くはいらっしゃらなかったと見受けます。そのため、他の発表者の方と同様、Q&A sessionはほとんど発言がなく、その点は少し残念でした。
一方、個人的には上述のようなさまざまな研究手法、疾病領域に興味があるため、聴講するのは非常に面白かったです。ネーティブの欧米および香港の先生と、ノンネーティブのアジアの先生とでは英語の感じが異なることも面白かったです。またスライドの構成も、個人差のみならず各国の文化や教育による違いと思われる際も見受け、非常に勉強になりました。
② Poster Session 2B
座長が日本人の先生と外国の先生の二名でした。ひとつ前の発表者も日本人の先生で、多少日本語での打ち合わせなどもでき、アットホームな雰囲気でした。前日のポスターセッションで最前列でないとほとんど聞こえないのに気づいていたので、大きな声で発表を心掛けたところ、功を奏したようでした。幸い多くの方に興味を持っていただけたようで、多くの先生方から質問を頂け、座長の佐藤教授のハンドリングもお上手で、積極的なディスカッションができとても楽しい時間となりました。
3) 参加、聴講されたプログラム等の感想(例:Assembly Meeting, Seminar, Symposiumなど)
肺癌のparallel sessionでは、新規薬剤の開発・保険承認状況の違いなども含め、国内外の著名な先生方のお話が聞けました。Non-TB lung infectionのparallel sessionでは、エキスパートの先生のわかりやすい最新reviewを聞けとても勉強になりました。ARDSのセッションではヘルメット型マスクNPPVの本場であるイタリアからご高名な教授がみえており、貴重なお話を伺えました。ポスターはどの時間帯も全部みるようにしましたが、上述のオーラル以上にデザインの差が大きく、発表の仕方について多くのことを考える機会となりました。
4)その他Congress 以外での体験など
Gala dinnerはさまざまなイベントを用意していただいており、楽しめました。交流に関しては英語力、積極性の低さのためお一人しかできませんでしたが、たまたま隣り合ったのがRespirologyのchief editorの先生だったこともあり、論文作成や留学に関する非常にためになるお話を伺えました。
5)今後参加する若手医師へのメッセージ
私は今回が国際学会3回目、オーラルは2回目の参加でした。初めてのとき、オーラルだったのですが、原稿用紙をもって登壇したのが自分だけで、とても驚きました。以後は原稿を完全に覚え、アドリブもきくまで十分準備していくようにしているのですが、今回も功を奏しました。周りをみても、非ネーティブの先生含め、ポスター・オーラルとも、ほぼみなさん読み原稿なしで発表していらっしゃいました。ぜひ万全の準備をして発表に臨まれるのがよいと考えます。
英語力にかんしては継続が大事、という意見をよく目にします。私自身、発表や想定質問などは十分に準備していったつもりでも、いざパッと答えるときは適切な単語がでてこなかったり、文法が崩壊してしまったりしました。ただ相手の方も、内容面で興味をもってくださっているため、こちらの言いたいことを何とか理解しようとしてくれます。英語力の継続的な向上を目指すことはとても重要ですが、私のように道半ばでも、決してそれを理由に国際学会参加/発表を見送る必要はないと考えます。海外で日本の先生方とお会いしたりディスカッションできる機会を楽しみにしております!