活動・取り組み
日本呼吸器学会 海外学会参加助成 被助成者一覧
APSR 2024 参加報告書
日本赤十字社医療センター 呼吸器内科
鎌谷 美和
1)今回APSRに参加した理由
自施設において実施した胸腔鏡下クライオバイオプシーを用いた胸膜生検の診断能、安全性について、海外にもむけて発信するとともに、アジア地域における知見を集積して日常診療に活用したいと考えたため。
2)発表されたセッションの感想
・よかったこと
Education Awardを拝受したため、ポスターセッション・オーラルセッションのいずれの機会もいただくことができた。オーラルセッションでは事前に重ねた練習が功を奏し、時間内に予定した内容で発表をすることができた。ポスターセッションでは道行くインドネシアから来場していた医師にお声がけをいただき、short presentationをきっかけに研究内容に興味を持ってもらうことができた。
・国内学会参加との違い
当然ながら質問は英語でなされるため、即時の対応力が要求される。同世代の他国のアジア系医師が流暢に対応しているのをみると、自分の英語力の拙さを痛感させられ、意欲向上につながる。また、ボディランゲージ・表情などの非言語的コミュニケーション能力が磨かれる。
3) 参加、聴講されたプログラム等の感想(例:Assembly Meeting, Seminar, Symposiumなど)
Seminarにおいては、医療の相違点・共通点のいずれも実感した。前者においては、日本では未認可のCOPD治療薬であるensifentrineについての知見や、日本ではあまり一般的でないフルフェイスマスク型のNPPVに対する強い推奨などを知ることができた。後者においては、アジアにおけるILDにおいての重要な知見や疾患概念の相応の割合が日本発の研究であることなどが実感された。
また、演者に対し積極的に質問を重ねていくのはインド出身や中国本土の医師が多く、国としての活力を感じた。彼ら彼女らと対等に渡り合っていくため、さらなるプレゼンテーション能力と積極性をもって交流していく必要性を感じた。
4)その他Congress 以外での体験など
地元文化の理解の促進のため、APSR終了後に地元スーパーを見物したところ日本で見かける製品が食品を中心に多くみられた。やや高級ラインの商品と扱われていることも多く、日本である=高品質であるという図式がうかがえた。これを心にとめておくことが、今後の医療ツーリズムの発展にも寄与するのではないかと思われた。
5)今後参加する若手医師へのメッセージ
論文を書くことは労力を要するが、それを可能とする環境があるのであれば積極的にチャレンジすべきである。そして、それを海外学会で共有することはさらなる労力や金銭的負担を要するが、非常に意義ある成長の機会であることが参加してより一層わかる。当施設のようにシニアレジデントには学会費助成のないところも多いと思われるので、呼吸器学会などの支援を積極的に活用していくことをお勧めしたい。