活動・取り組み
日本呼吸器学会 海外学会参加助成 被助成者一覧
APSR 2024 参加報告書
産業医科大学医学部 呼吸器内科学
千葉 要祐
2024年11月7日(木)~10日(日)の4日間、Hong Kong Convention and Exhibition Centreにて第28回アジア太平洋呼吸器学会学術集会(APSR 2024 Hong Kong)が開催されました。今回、日本呼吸器学会海外学会参加助成の支援を受けて参加させて頂きましたので、その概要を報告させていただきます。
1. APSRに参加した理由や学術集会を通して学んだこと
自身の肺癌に関する基礎研究の成果を国際的に発信し、より広い視点でのフィードバックを得ることを目的にAPSRに参加しました。また、多様な背景を持つ臨床医、研究者との交流を深め、自身の研究に新たな視点を取り入れたいとも考えました。
私の発表は3日目のLung Cancer (1) Oral Sessionでした。このセッションではアジアだけでなくヨーロッパからの発表も見られ、研究内容も基礎研究、臨床研究、症例報告と幅広く展開されていました。国ごとに医療制度や背景が異なるものの、肺癌治療における課題や臨床的問題には共通する点が多く、グローバルに協力し合い、Respiratory Healthに取り組む必要性を強く感じました。また、国内学会と異なり、異なる言語や文化を持つ参加者と議論を行うため、より明確でわかりやすい説明が求められ、その過程で自身の研究課題を再確認する良い機会となりました。私の発表演題(Tumor intrinsic caspase-4 promotes both metastasis and interferon-gamma induced pyroptosis in lung adenocarcinoma)は、APSR / KF-CB Lung Cancer Research Young Investigator Awardに選出されました。このような名誉ある賞を受けることができたのは大変光栄であり、今後の研究活動への大きな励みとなりました。また、同じ日の夜に開催されたGala Dinnerは、大勢の参加者で賑わい、香港の伝統文化である書道、ダンス、歌謡などにも触れ、多様な国々の研究者と交流できたことも貴重な経験でした。
会期中に開催されたAssembly MeetingやSymposium等を通じて、日本呼吸器学会の重鎮の先生方がAPSRのExecutive Committee、Central Congress Committee、Assembly Leadersなどの多くの役職に在籍していることを改めて知りました。APSRへの日本からの積極的な参加は、国際的な舞台での日本のプレゼンス向上に寄与し、日本の呼吸器診療のさらなる発展に繋がると実感しました。
2. 今後国際学会への参加を検討している若手医師へのメッセージ
日々の臨床業務の中で国際学会への演題準備や参加時間を確保するのは容易ではありませんが、国際学会に参加することで国家や人種の壁を越えた多様な刺激を受けることができ、その経験が臨床や研究のモチベーション向上に繋がると考えています。APSRは基礎研究から臨床研究、症例報告まで幅広い内容で受け入れており、学びの場としても充実しています。是非、次回のAPSRへの参加をおすすめいたします。
左から筆者(千葉)、赤田憲太朗先生、矢寺和博教授 いずれも産業医科大学呼吸器内科学
香港の夜景