活動・取り組み

DEI委員会

女性医師のキャリアパス

竹内 奈緒子 医師国立病院機構近畿中央呼吸器センター/呼吸器内科
2004年3月卒業

呼吸器内科を選んだ理由

当初から呼吸器内科と決めていたわけではありませんでしたが、研修医時代に放射線科の先生が開催されていた定期的な画像勉強会があり、シャーカステンを通して胸部レントゲン1枚でどこまで内部の構造が読影できるかなどについて熱心に指導してもらい、胸部画像について興味を持つようになりました。また、呼吸器内科をローテーションしていたときに、上の先生が自由自在に気管支鏡検査をされているのを憧れの眼差しで見ていたところ、ある日、検査終了時に持ってみる?といわれて初めて持たせてもらい、持ち方や動かし方などを教えて頂いて、内心すごく興奮したのを覚えています。そのとき、自分も気管支鏡ができるようになりたいと強く感じました。そういったこともあったためか気付いたら呼吸器内科を選んでいました。

呼吸器内科を選んで良かったこと、やりがいを感じる時

日常臨床で遭遇する疾患に対して、成書を読んで臨床情報や画像が当てはまるかどうかなど鑑別診断を考えたり、必要と思われる検査を模索したり、結果の情報をもとに、診断について矛盾がないか、治療法はどうかについて他の医師と議論したり、知識をアップデートしたりするなど、いつまでも探求心が尽きずに続けられることは、呼吸器内科を選んで良かったなと思います。臨床と同時に画像・病理が一緒に学べることも大きな魅力の一つだと感じます。また、自分が学んだことによって、患者さんの診断や治療などで何らかの形で役立ったり、患者さん、御家族の方から感謝の言葉を頂いたときは、続けていくことが日々のやりがいとなります。

女性医師としてキャリア形成する上で、気をつけたこと・頑張ったこと

女性ということと関係なく、男性とほぼ同等に仕事ができるようになればと漠然と感じていました。自分の中で女性だからということをいうことを理由にせずに、前向きに仕事に向かうように努めました。臨床現場では、患者さん、御家族から、担当が女性医師であることで不安な気持ちを感じさせてしまわないように、できる限り分かりやすく、ゆっくりと落ち着いた言い方で病状説明を行うことを心がけるようにしました。また、日常臨床から生じた疑問や気になったテーマについては、積極的に学会発表にも取り組むように努めました。

女性医師としてのキャリアを積んできた上で、一番助かったこと

一般的に男性医師の方が頼りがいがある、信頼できるなどの意見を耳にする一方で、受け持った患者さんから女性の先生で良かったとのお言葉も頂くこともあり、女性医師のニーズを感じたことは嬉しく感じました。患者さんによって医師に求められるものは様々ですが、女性の先生の方が話しやすいなどの声があると、自身の働いている存在価値も確認できます。最近は、呼吸器指導医の資格があることで後輩の資格認定に貢献することができて良かったと思っています。また、お世話になった両親に、自立しているという安心感を与えることができるのも有難く感じます。

女性医師としてキャリアを積む上で、これから職場・学会等に改善を望むこと

竹内 奈緒子 医師

最近では男性医師も育児などに協力されている印象を受けますが、女性医師は出産・育児など男性より休まなければならない期間が長くなることは避けられません。そういったお休みの後、そのままやめてしまわない、職場復帰がしやすいような環境改善が望めればと強く思います。働きたいけれど、周囲に迷惑をかけるから復帰することに躊躇される女性医師もおられるかと思います。少しでも働きやすい職場の環境作りにしていけるように、急なお休みであっても代理を容易に行うことができたり、しばらくの間何らかの事情で休まなければならない際に引継ぎがスムーズに行われることが可能な状態にすることも大切ではないかと感じます。また、直接学会に行くことが難しい医師のためにも、オンラインも可能な学会が継続できれば、発表の機会も増やせ、知見も得られやすいですし、キャリアを積んでいくうえで、助かるかなと思います。医師の働き方改革も見直されている中で、今後、時代の需要に沿った柔軟な対応を望みます。

後輩に対するメッセージ

呼吸器内科医師を目指される先生方、多岐に渡る呼吸器疾患について、私が研修したときとは異なり、画像の解析度や気管支鏡検査の技術の進歩、治療内容の充実に伴い、知識、技術など学ぶべきことは膨大な量になるかとお察しします。また、急性期と慢性期疾患を同時に診療にあたられる際に、積極的な最大限の治療と緩和治療の狭間に立つこともあり、自身の診療を進められていく中で戸惑うこともあるかと思います。なかなか答えが見つからないこともありますが、こういったことを一緒に考えるということが求められる科でもあるのかなと思っています。若い先生方には是非、様々な経験を通して学んで頂き、将来の呼吸器内科を支えて頂ければと期待しています。困ったときは上の先生方の経験談も参考になるかと思います。頑張って下さい。