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マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)急増にあたり、その対策について

日本呼吸器学会/日本呼吸器学会感染症・結核学術部会/日本感染症学会/日本化学療法学会/日本環境感染学会/日本マイコプラズマ学会

2024年11月19日一部修正いたしました。

マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)急増にあたり、その対策について


-抜粋- 1) 患者さんでない一般の方への啓発、患者さんへのご説明  

① マイコプラズマ感染症とは?

 マイコプラズマ感染症は、マイコプラズマという細菌による感染症で、様々な症状をきたします。現在、流行しているマイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)と呼ばれる菌による呼吸器感染症で、一般的な肺炎と異なり、学童期から成人にみられ、高齢者には少ない感染症です。ほとんどが軽症で、自然に治ることもありますが、ごく稀に重症化することがあります。
 以前は、4年に一度のオリンピック開催年に定期的に流行していたため「オリンピック肺炎」と呼ばれていたこともありますが、最近はその傾向はなくなりました。2020 年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まってから今年になるまで、大きな流行は確認されていませんでしたが、現在の流行は最後に流行した2016年の流行を超える流行となっています。 

②どのような症状があるの? 

 マイコプラズマ肺炎では、発熱、倦怠感、頭痛、咽頭痛などの症状がではじめて、数日後に、咳嗽(せき)が出てきます。せきは、痰を伴うことが少ない乾いたせき(乾性咳嗽とよびます)が特徴で、解熱した後も長く持続することがあり、「長引く頑固なせき」と表現されます。ただし、これらの症状だけからマイコプラズマ感染症を診断することは困難です。呼吸器症状以外にも、稀ではありますが、中耳炎、皮疹、心筋炎、ギランバレー症候群(神経の炎症で手足が動きにくくなるなどの症状があります)など肺以外の病気を合併することもあります。

③どのように流行するの?

 新型コロナウイルス感染症のように、せきやくしゃみの飛散から感染が拡がる、いわゆる飛沫感染が主体です。潜伏期は2~3週間で、患者と濃厚に接する家族内、もしくは、職場内などの小集団でしばしば拡がりますが、インフルエンザのように短期間で地域での大規模な感染拡大が起こることは稀であるとされています。ただし、学校で流行を引き起こし易いことから、夏休み明けの新学期は要注意です。さらに子供が学校で感染し、家庭にもちこむことによる家族内感染事例も多く発生しています。  

④感染しないようにするには?

 新型コロナウイルス感染症と同様に、飛沫感染しますので、マスク着用、換気などの感染予防対策を行いましょう。併せて、石けんによる手洗いやアルコールによる手指衛生も併せて行いましょう。  

⑤感染が疑わしい、あるいは感染した場合

 マイコプラズマ感染症は感染症法上で 5 類感染症と定められており、毎週の全国の流行状況が把握されています。現在のように、流行期にある場合、風邪のような症状、せきがある、周囲に同様の症状の方がいる、という場合は、マイコプラズマに感染している可能性があるため、近くの医療機関を受診してください。なお、現在、新型コロナウイルス感染症も流行しています。医療機関を受診する際には、医療機関に連絡をいれて受診することをお勧めします。
 受診後に、本感染症の診断がなされ、抗菌薬で治療を行われた場合、一般的には2~3日で解熱することがほとんどですが、解熱しない、せき、そのほかの症状が悪化する場合は、再度、医療機関にご相談ください。  

⑥学童の場合、出席停止期間は?

 マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法施行規則で学校において予防すべき感染症として明示されていませんが、学校で通常見られないような重大な流行が起こった場合には、その感染拡大を防ぐために、必要があるときに限り、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症の「その他の感染症」として緊急的に措置をとることができます。「その他の感染症」として出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や各地域、学校における感染症の発生・流行の態様等を考慮の上で判断する必要があり、あらかじめ特定の疾患を定めてあるものではありません。また、第三種の感染症の出席停止期間の基準は、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでとされており、学校医等の意見を踏まえ、個別に判断されます。


2024年11月19日修正箇所 ⑥学童の場合、出席停止期間は?